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2025年7月11日 この範囲を時系列順で読む
2025年7月11日(金)
〔3日前〕
文字
2025年7月10日 この範囲を時系列順で読む
2025年7月10日(木)
〔4日前〕
雑記やメモ
・ナンキンハゼとナンヨウハギ
・ベニカナメモチとメガネモチノウオ
・ポリゴナムとピンポンマム
2025年7月9日 この範囲を時系列順で読む
ドクダミの花が満開だ。
春、次から次へと彩られていく植木や花壇の裏で、ひそやかに、しかし華やかに、真っ白な舞台が用意されている。
ドクダミというと繁殖力が高いだとか強い臭いがあるだとかいう印象が強いけれど(そしてそれはやはり、決して悪いことではないのだけれど)ほんとうは花としてもたいへん美しいのだ。
ハートの葉の重なりを掻き分けて、少し外を覗いてみようか、というように顔を出す姿は、小さくて可憐な印象もあってあどけない少女のようである。それがたくさん咲いている場所なんかは――もしそれが放っておかれた物置の隅なんかだったとしても、花畑といって差し支えない景色だ。
夜の暗い空にぱらぱら光るのが星ならば、ドクダミの花は初夏の緑に光る足元の星であろう。
白い総包片を四つ丸く伸ばす姿は凛として、日向のずっと高いところに咲いているよく似たヤマボウシにも堂々として並び立つ。
彼女たちの美しさは、初夏の光をひっそりと避けてなおかがやいている。
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初夏の日暮れ。
用事を終えて扉を開くと、すぐそばの公園から甲高く耳に届く音色があった。ニイニイゼミが息も切らせずに音を響かせているのだ。もちろん息というのは言い回しによるものだが――まあ、あの小さな体でよくやるものだ。
サルスベリが咲いて、セミが鳴き出す。私の中ではこのふたつが訪れるとようやく、ああ夏が来た、春はまた来年を待つのみだと思うのである。
夕焼けはついさっき空を通りすぎたばかりのようで、東には薄い群青の夜が近付いていた。広い空の低いところに、大きな月が浮かんでいる。あと一日か二日で満月になろう月だが、それでも黄色く丸いお菓子のように丸々と輝いて、たいへん綺麗である。
今日の昼はよく晴れていたから、空気はからっと乾いていた。それでいて、それほど暑くない。ああ、なんて良い初夏の夕だ。
黒々とした木々の影を見上げながら、コウモリが飛びそうな空だ、と思った。途端、まるでこの考えを読んだかのように、アブラコウモリの影がぱっと飛ぶ。せわしなく飛ぶその姿は、木の影から木の影へ、さっと現れては消えてゆく。さっきから蚊がぷんぷんとんでいるが、これも彼らにとってはきっとご馳走に違いない。
帰路に着く。大きな満月は町じゃ電線にとらえられて、少し窮屈そうにかがやいていた。
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2025年7月9日(水)
〔5日前〕
雑記やメモ
どうやら東急ストアとかのプライベートブランドのキャラクターみたいです。
ブイーナのプロフィールのページ
大きいいおめめ、「人」みたいな口、頭巾みたいなデザイン……その他キャラ設定もかわいすぎる……😭
絶対立体映えするからぬいぐるみとか欲しいんだけど、通常販売してるものではないみたい。悲しい。
#好き語り
2025年6月30日 この範囲を時系列順で読む
2025年6月28日 この範囲を時系列順で読む
2025年6月28日(土)
〔17日前〕
作品感想
腑分け(解剖)を題材にした時代劇もので、推理ものの要素もある。
ストーリーが面白いし、何より主人公がめちゃめちゃ良い~~。
webでもちまちま読み進めてるし単行本も買っちゃった。
万内さん、外見も内面も信条も好きすぎる。
マッドサイエンティストとしてのヤバさをしっかり前面に出しながら、人間の美しさに視点を据えているのが素敵。
結果に対し、興味深く淡々と「そうである」と受け止めるのも科学者としてとても良い。
1話試し読みできるのでよければ……。
https://tonarinoyj.jp/episode/2550912965...
(※題材的にどうしても死体の表現があるので注意)
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最新話まで読んだ!
とある話からがっつり下ネタが入ってくるのでびっくりした……そういえばヤンジャンって青年誌だったか……。
それはそうと相変わらず全員キャラが濃くて好きです。
最新話は正直例のシーンよりも、回想コマに描かれた昔の万内さんのほうに撃ち抜かれてしまった。かっ髪色……ッ!!
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#好き語り
2025年6月25日 この範囲を時系列順で読む
7話
OP、EDにいたヨレンタが登場。
ヨレンタの父、この人かい……ッ! でも一切顔が映らないのは何故だろう。
コルベさんが善人というのは本当なんだろうなと思う。むしろこの周囲の価値観に疑問を抱けるヨレンタがすごすぎるというか。
3人が合流したのでここからも楽しみ。
8話
バデーニの猫かぶり態度、普段とのギャップが好きだ。
ピャスト伯もまた無謀に真理を求める挑戦者であるというのが、他のキャラと重なって良い。
研究のための情報を開かれたものにするか否か、というのは博物学に通じる文脈でもあるな。情報を知る人の数は可能性の数でもある……というのは現代の感覚でもあるんだろうけど。
9話
自然科学や科学史の良さが詰まったすごい回だった。
知識が増えると景色も変わること。 データは感情をたびたび置いていってしまうこと。文字は時代を超えるということ……。
ヨレンタが周囲の環境を考えると異様に浮いているんだけど、それどころじゃなく魅力的なシーンが多くて良い!
オクジーが金星を見た時の映像表現も良かった。
エンディング入った時ちょっと呆然としてしまった。
10話
バデーニの傲慢さは与えられた環境から来ているけど、その傲慢さゆえに知を他人に与えることは良しとしないんだなあ。
ネックレスに楕円軌道を見るシーン鳥肌立った……今では唯一フベルトを思い起こさせるアイテム。
それはそうとバデーニ面白すぎる。オクジーの物語に一体何が書かれていたんだろう。
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#チ。
2025年6月22日 この範囲を時系列順で読む
2025年6月22日(日)
〔22日前〕
絵
AI-NYA-0(読みはエーアイニャオ、通称アイニャ)と
Dr. Everett(ドクター・エヴァレット、通称エヴ)のコンビ。

・アイニャを作ったのはエヴ。
・アイニャは無邪気で甘えんぼうでマイペース。AI搭載ロボなので性別はない。疲れた時や甘えたい時はちびねこモードになる。
・エヴは基本的に堅苦しくて嫌味っぽい性格。
・エヴはアイニャに対しても愛想ない態度だが、アイニャ自身はエヴに好かれていることを分かっている。
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2025年6月22日(日)
〔23日前〕
絵

ずっと特にイメージ浮かばないな~と思ってたけど、二つ目のアイコンができた途端降って来たので出力。
アシスタントねこちゃん(マスコット姿に変身可能)と高身長長髪博士。趣味しかない……。
🐱「はかせ! 頼まれてたタスク完了しましたよ!」
👓「へえ、早かったね」しらー
🐱「やっぱりボクが高性能だからですよね!? ほめてくださいよーっ」
👓「高性能な君を作ったのは私なんだから、褒めるのは違うだろう」
🐱「えーっいじわる!! もう頑張りませんよ!?」
👓「まあなんだ、このクッキーをやろう。普段より上等なやつだから大事に食うんだぞ」
🐱🎵「わーいっ」
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今年もまた、セミが鳴きだした。
一足はやく起きたらしいニイニイゼミの繊細な音に、アブラゼミの力強い声が重なる。
セミの存在を感じると、私の頭の中には小学生の頃のひとつの夏が思い起こされる。あの頃の夏休み、両親は私たち兄弟を、四国の山にあるキャンプ場に連れて行ってくれた。キャンプ地といっても、テントを建てるのではなく、小さなコテージに泊まるのだけれど。
すぐそばの小さな崖を下りたところには泳ぐのにちょうど良い沢があったし、もう少し遠くへ行けば、大きなカブトムシやクワガタのとれる林もあった。それで私たちは、昼には涼しい沢で泳いだり魚を見たりして、夕方にはバナナで作った虫用の罠を仕掛け、そして次の日には朝早く起きて昆虫採集に行く、というのが決まりのようになっていた。
ある日の夕方、コテージの中でぼんやりとしていたところ、外から父親の声がした。聞けばセミの幼虫だと言う。それで私ははね起きて外へ飛び出していった。
子どもというのはセミの抜け殻を集めるものだから、その形はみなよく知っているだろう。大きくて丸いビーズみたいな目に、つやつやつるんとした形の胴体。それを支える小さな脚の一番前に並んだものには、たくましくて立派な爪がついている。そんなセミの抜け殻と同じ形をしてはいたが、そこにいたのは全くの別物であった。
抜け殻よりも濃い茶褐色に輝く体、そしてそこについたくろぐろとした目は、抜け殻なんかと全く違った存在感を放っていた。今ここに生きている、と強く主張しているように。
そこで私ははっとした。夏に嬉々として集めていたあの茶色いカサカサの物体は、かつて紛れもなく命が入っていた跡であったのだ。頭で分かったつもりになっていることと、命を目の前にして感じることは違うということも、そこで私に刻み込まれた。そのくらいに、目の前を小さく歩くセミは私に強く衝撃を与えたのだ。
父は、せっかくだから羽化を観察しよう、と言った。
具体的にどういう方法をとったのかは、正直あまり覚えていない。確か割り箸をコップに固定したのだったか、と思う。とにかく、セミは少し薄暗いところに置かれて、彼なりに納得のいく位置を見つけてしばらくの間じっとしていたのだ。
私はその脇であわただしく、鉛筆とノートを準備した。こんな良い機会なのだから、記録しなければと思ったのだ。
気もそぞろに夕飯を食べて、またセミに向かう。この頃は生物スケッチの知識なんてなかったが、できるだけ同じように描こう、と考えていた。大きな目、ぴんとした触角、足の節、体の節。かわいさとかっこよさを兼ね備えている、なんて素晴らしい生き物だろう、とうっとりした。
やがて、セミの背中に亀裂がはいった。亀裂は少しづつ横に広がって、少し薄い色の中身が見えてくる。
私はそれを隣のページに描き起こした。セミの姿とノートのそれぞれに絶えず視線をやりながら、気付いたことや考えたこともすべてメモしていく。
セミは白くてくしゃくしゃの身体を茶色い殻から引き出しながら、ゆっくり、ゆっくりとのけぞっていく。気持ちよさそうにぐっと弧を描いた体は、青っぽい三日月みたいだ。しばらくそのままになっていたかと思うと、満足したように体を持ち上げた。元の体から、同じような節のついた新しい体を引き抜いて、羽を乾かすようにまたじっとする。はじめはまるで絞ったタオルみたいだった羽は、見知った形にひろがってゆくのだった。
自分でも驚くような速さでセミの絵を描き、またセミに目をやる。姿に変化があるたびその部分を新しく描いていたから、セミの絵はもう何ページにもわたっていた。
私はまだ青白いセミを眺めた。よく知るセミと全く同じ形だが、その姿はかがやいて見えた。それは色のためだけではない。すべてのセミの一生に、この魔法のような不思議な変化があることを、彼が教えてくれたからである。
小学生にしては遅い時間の就寝の後、朝になるとセミはもうどこかへ行ってしまっていた。コテージの外、耳にわあわあとひびくセミの音の中のどこかに、あの個体の声が混じっているのかもしれない。
セミは、地上に出てから羽化して成虫になるまでにその多くが命を落としてしまう、というのは後に知った話だった。つまり、辺りでいっぱいに生きているすべてのセミは、幸運の体現者なのである。
私たちの観察のために無事に羽化できたセミは、もし何かが違えば、例えばアリなんかの命を救っていたのかもしれない。だが確かに私はあの一匹から大切なものを教わったのだ。何が正しいのかは分からないけれど、今でも私はあのセミに大きな感謝の念を持っている。
今年もまた、セミが鳴きだした。
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