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2025年12月4日 この範囲を時系列順で読む
2025年12月3日 この範囲を時系列順で読む
『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』観てきた。
前作も良かったし、今作もめちゃめちゃ最高だった。ありがとうございます。
小黒かわいいしルーイエかっこいいし無限様はつよい。
師弟関係大好きなのでずっと噛み締めていた。前作の続きにあたる小黒と無限の関係性を見れるうえに、兄弟弟子……ありがとうございます……。
しゃおへいの成長を見守る無限、兄弟弟子の出会い、ルーイエのかつての師匠と無限との出会い。
師弟関係って「変化」が常にある関係性なのが好きだ。弟子はずっと師匠を見上げるだけではいられないし、師匠もずっと守るだけではいられない。出会いもあるが別れもある。自分が師から学んだことを引き継ぐ番になることもある(ルーイエが弟子をもっているのびっくりした)。
ルーイエと小黒の関係性の変化の描写が丁寧で、とても良かった……。
前作でも同じような感想を抱いたんだけど、羅小黒戦記は物語の締めに「このまま立ち止まってはいられない。前を向いて進まなければならないんだ」という切ない前向きさを感じる。
平和を乱すものがいる以上、力をもつ者としてそれを止めなければならない。ずっとそういう話をしている。
そして、ルーイエの「戦争は終わるまでどっちが正しいかわからない」という発言もまた本質的だなと思う。
この作品で戦争を起こそうとする人間の行動は愚かで・話が通じない・敵意に満ちた存在のよう描かれるけど、一般人や敵意のない人間は決してそうではない。妖精も人間も一枚岩じゃないから、互いに盲目になってはいけないんだというメッセージを(勝手に)感じる。
アニメーション表現もやっぱり好きだな~と思った!!
なめらかに滑るようなアクションや日常の動きが本当に見ていて綺麗でうっとりする。小黒の一挙手一投足、特に食事シーンやはしゃぐシーンが生き生きしていてかわいいし、全然動かない無限のふとした動作も好き。
特に印象に残ったのは、回想で仲間を亡くしたルーイエが無限に向かって暴れる場面。ルーイエの動と無限の静の対比がこれでもかというくらい極端で、ルーイエの感情の行き場のなさがひしひしと伝わるようだった。
前回より3Dが多く使われていたけど、元の作画がぬるぬる動く感じなので全然違和感がなかったのもすごい!
飛行機のくだりとかずっと息を止めて見てしまった。機内の重力変化の描写、本当に臨場感があってすごい。
あとルーイエが痕跡を追うシーンで挟まる短いカットが連続するところ、画面が動かないぶん構図に全振りしてて最高……!! 全部のカットが絵になる。あそこをまとめた画集あれば買うレベル。
コミカルなシーンも相変わらずよくて、無限を好き放題ボコる小黒とそれをウケながら撮るルーイエのとこめちゃめちゃ好きだった(字面だけ見たらなんだこれ)。
あと全編通して無限様は相変わらず強くて静かでかっこいいんだけど、終盤強すぎてウケちゃったシーンがある。なんでこのひと人間やってるんだ。
今作からのキャラとして気になってたのはシームーズさんで、糸目のCV.石田彰キャラということで、一周回って黒幕はないよなと思ってそわそわしてた。
正直このタイプのキャラかなり好きだからもっとみたかったな……どこかで見れませんか……。扇子を扱う所作がいっぱい見たい。
彼がどんな面白を好むのか気になるよ~。
畳む
前作も良かったし、今作もめちゃめちゃ最高だった。ありがとうございます。
小黒かわいいしルーイエかっこいいし無限様はつよい。
師弟関係大好きなのでずっと噛み締めていた。前作の続きにあたる小黒と無限の関係性を見れるうえに、兄弟弟子……ありがとうございます……。
しゃおへいの成長を見守る無限、兄弟弟子の出会い、ルーイエのかつての師匠と無限との出会い。
師弟関係って「変化」が常にある関係性なのが好きだ。弟子はずっと師匠を見上げるだけではいられないし、師匠もずっと守るだけではいられない。出会いもあるが別れもある。自分が師から学んだことを引き継ぐ番になることもある(ルーイエが弟子をもっているのびっくりした)。
ルーイエと小黒の関係性の変化の描写が丁寧で、とても良かった……。
前作でも同じような感想を抱いたんだけど、羅小黒戦記は物語の締めに「このまま立ち止まってはいられない。前を向いて進まなければならないんだ」という切ない前向きさを感じる。
平和を乱すものがいる以上、力をもつ者としてそれを止めなければならない。ずっとそういう話をしている。
そして、ルーイエの「戦争は終わるまでどっちが正しいかわからない」という発言もまた本質的だなと思う。
この作品で戦争を起こそうとする人間の行動は愚かで・話が通じない・敵意に満ちた存在のよう描かれるけど、一般人や敵意のない人間は決してそうではない。妖精も人間も一枚岩じゃないから、互いに盲目になってはいけないんだというメッセージを(勝手に)感じる。
アニメーション表現もやっぱり好きだな~と思った!!
なめらかに滑るようなアクションや日常の動きが本当に見ていて綺麗でうっとりする。小黒の一挙手一投足、特に食事シーンやはしゃぐシーンが生き生きしていてかわいいし、全然動かない無限のふとした動作も好き。
特に印象に残ったのは、回想で仲間を亡くしたルーイエが無限に向かって暴れる場面。ルーイエの動と無限の静の対比がこれでもかというくらい極端で、ルーイエの感情の行き場のなさがひしひしと伝わるようだった。
前回より3Dが多く使われていたけど、元の作画がぬるぬる動く感じなので全然違和感がなかったのもすごい!
飛行機のくだりとかずっと息を止めて見てしまった。機内の重力変化の描写、本当に臨場感があってすごい。
あとルーイエが痕跡を追うシーンで挟まる短いカットが連続するところ、画面が動かないぶん構図に全振りしてて最高……!! 全部のカットが絵になる。あそこをまとめた画集あれば買うレベル。
コミカルなシーンも相変わらずよくて、無限を好き放題ボコる小黒とそれをウケながら撮るルーイエのとこめちゃめちゃ好きだった(字面だけ見たらなんだこれ)。
あと全編通して無限様は相変わらず強くて静かでかっこいいんだけど、終盤強すぎてウケちゃったシーンがある。なんでこのひと人間やってるんだ。
今作からのキャラとして気になってたのはシームーズさんで、糸目のCV.石田彰キャラということで、一周回って黒幕はないよなと思ってそわそわしてた。
正直このタイプのキャラかなり好きだからもっとみたかったな……どこかで見れませんか……。扇子を扱う所作がいっぱい見たい。
彼がどんな面白を好むのか気になるよ~。
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2025年11月30日 この範囲を時系列順で読む
2025年11月30日(日)
〔76日前〕
日記,園館訪問,博物館
国立科学博物館に行った。
目的は地球館の企画展「量子の世紀」。ついでに世界土壌デーの講演も聞いてきた。
自分は別に量子力学に詳しいとかではないんだけど、この企画展のチラシ(キービジュアル?)が二重スリット実験のようなデザインになっていてなんとなく惹かれたので、せっかくだからと滑り込み。
今年は量子力学という学問ができてから100年の節目らしい。
展示の前半は学問としての歴史、後半は様々な理論の解説や技術への応用が中心で、前半は科学史好きのツボにはまり、後半は量子力学知らなくても楽しい内容だった。
理論を説明するための展示物が色々あるんだけど、視覚的・感覚的に落とし込むのすっごく難しそうだなと思う……。
QuizKnockの須貝さんが手伝っていた展示もあった。
あと本来目的にしていなかったんだけど、時間的にちょうど世界土壌デーの講演イベントが始まったのでそちらも聞いてきた。
土壌についてと、モノリス(土壌の剥ぎ取り標本)制作についての話が主。
対象年齢は小学校高学年~だったけど関係なく面白かった(来場者はほとんど大人だった)。
土壌の剝ぎ取り標本は地層のそれの作り方とほぼ同じ手順だけど、「最初に断面を露出させるために縦に深い穴を手作業で掘る」という工程が必要と聞いて、確かにそうじゃん……とびびった。
それから日曜日だったのでモノ語りワゴンにも立ち寄った!
再現したエレキテルの内部を見せてもらうなどした。
あれって静電気集め特化マシンなんだな……。
畳む
企画展のワニと特別展の大絶滅展はまたこんど行こうと思う。

2025/11/30 国立科学博物館 
2025/11/30 国立科学博物館
目的は地球館の企画展「量子の世紀」。ついでに世界土壌デーの講演も聞いてきた。
自分は別に量子力学に詳しいとかではないんだけど、この企画展のチラシ(キービジュアル?)が二重スリット実験のようなデザインになっていてなんとなく惹かれたので、せっかくだからと滑り込み。
今年は量子力学という学問ができてから100年の節目らしい。
展示の前半は学問としての歴史、後半は様々な理論の解説や技術への応用が中心で、前半は科学史好きのツボにはまり、後半は量子力学知らなくても楽しい内容だった。
理論を説明するための展示物が色々あるんだけど、視覚的・感覚的に落とし込むのすっごく難しそうだなと思う……。
QuizKnockの須貝さんが手伝っていた展示もあった。
あと本来目的にしていなかったんだけど、時間的にちょうど世界土壌デーの講演イベントが始まったのでそちらも聞いてきた。
土壌についてと、モノリス(土壌の剥ぎ取り標本)制作についての話が主。
対象年齢は小学校高学年~だったけど関係なく面白かった(来場者はほとんど大人だった)。
土壌の剝ぎ取り標本は地層のそれの作り方とほぼ同じ手順だけど、「最初に断面を露出させるために縦に深い穴を手作業で掘る」という工程が必要と聞いて、確かにそうじゃん……とびびった。
それから日曜日だったのでモノ語りワゴンにも立ち寄った!
再現したエレキテルの内部を見せてもらうなどした。
あれって静電気集め特化マシンなんだな……。
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企画展のワニと特別展の大絶滅展はまたこんど行こうと思う。


2025年11月26日 この範囲を時系列順で読む
2025年11月26日(水)
〔80日前〕
絵
#知恵の劇場 単発まんが
エリオとステラと圭宿と、文化の違い
多分>>719より前の話

エリオは異性へのアプローチが多いしよく花束だのアクセサリーだのを贈るけど、あくまでコミュニケーションとしてなので、本気で口説こうとは微塵も思っていない。
もし相手が指輪を左薬指にはめようとしたら、エリオは冗談めかしつつスッと別の指に付け直すと思う。贈り物は彼なりの敬意であって、恋や愛ではないので。
あと3ページ目でエリオのテンションがやたら高いのは、彼がロマンチックさを求める文化・民俗学の人だから。
圭宿は普段あまり自分のことを話したがらない。
が、若者の好奇心や知識欲には弱いので、実物を見せた方がピンとくるだろうと思って出した。特に深い意味はない。
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エリオとステラと圭宿と、文化の違い
多分>>719より前の話

エリオは異性へのアプローチが多いしよく花束だのアクセサリーだのを贈るけど、あくまでコミュニケーションとしてなので、本気で口説こうとは微塵も思っていない。
もし相手が指輪を左薬指にはめようとしたら、エリオは冗談めかしつつスッと別の指に付け直すと思う。贈り物は彼なりの敬意であって、恋や愛ではないので。
あと3ページ目でエリオのテンションがやたら高いのは、彼がロマンチックさを求める文化・民俗学の人だから。
圭宿は普段あまり自分のことを話したがらない。
が、若者の好奇心や知識欲には弱いので、実物を見せた方がピンとくるだろうと思って出した。特に深い意味はない。
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2025年11月24日 この範囲を時系列順で読む
2025年11月23日 この範囲を時系列順で読む
#知恵の劇場 単発小説
圭宿と小さな来館者の話。
星海蹄類ソラウミウシの幼獣保護および一時飼養報告書
「これは、一体?」
圭宿は片眼鏡をくいと指の甲で上げて訊ねた。普段の落ち着いた調子の中に、わずかに困惑が混ざっている。
背の低いウサギの中年は、細い目をさらににっこりと細くして答える。
「宇宙海牛の赤ん坊じゃよ」
「いやねえハッブル君、それは判りますよ。あたしは宇宙生物には明るくありませんが、これは文献で知っていますし、館内に標本だってあるんですから」
ソラウミウシ、あるいはウチュウウミウシ。それは、圭宿の元々知るウミウシという生物とは全く違った見た目をしていた。牛に似た前半身に、ひらひらとなびく不定形な下半身。淡い紫と白のまだら模様に染まった体は、短い毛並みに覆われている。
大人になれば大型犬ほどの大きさになる生物だが、今ここにいる個体は圭宿の片腕の中にすっぽり収まるほどしかなかった。顔つきは幼く、まだ橙色の角すら生えきっていない。きょとんとした様子で、彼の腕の中に抱えられている。
「あたしが聞きたいのは、これの生きた幼獣なんてものがなぜここにいるのか、ってことなんです」
私用で出掛けた学芸員がつい標本を持ち帰るなんてことは、この博物館では良くあるものだ。
この天文学館で見るものといえば、岩石の欠片や宇宙を漂う魔法塵、既に死んだ生物の痕跡、新しいデータなどがほとんどである。しかし、生きたままの宇宙生物の子どもを持って帰る例など、彼がサブチーフを勤めるなかで、これまで一度も見たことがなかった。
ハッブルは、それがなあ、と白い毛並みの頭を掻いて話し始めた。
「つい昨日、休暇をとって星海域でヨットに乗ってたんじゃよ」
「……はあ」
「この海牛たちは大規模な群れで移動しながら暮らす性質があるんじゃが、どうやらこの子は渡りに乗り遅れたようでな。わしの宇宙船に突然飛び込んできたんじゃ。そのまま置いてきても良かったんじゃが、やはり可哀想でな……」
そうしてくるんと巻いた口髭をいじりながら、眉を下げて悩ましげに言ったかと思うと、彼はにわかに声を明るくした。
「そこで水流を調べてみたところ、その群れは半月後に来る星流嵐に乗って再び戻ってくるタイミングがあるようなんじゃ! じゃから、それに合わせて群れに返してやろうと思ったんじゃよ」
ハッブルは顎に手を当てて、うんうんと納得するように頷く。
「なるほど。それは分かりました。ですがあなたねえ、先程あたしに、この子の面倒を頼むとおっしゃいましたね?」
「うむ。連れて帰ったは良いんじゃが、丁度このあと二週間ほど、兼任している科学技術館の件で手一杯になるのを忘れていたんじゃ。科学技に海牛の赤ん坊を連れていくのは、そのー……ちょっと危ないじゃろ」
「まあ、そうかもしれませんねえ」
圭宿は他の館の様子に記憶を巡らせた。あの館がとりわけ危ないということはないが、機械いじりが好きな者がやたら多い空間だ。確かに小さな生き物の面倒を見るには向いていない。
「それでもなんであたしが――」
その時、ぐい、と顔の横に垂らした三つ編みが下に引っ張られる。彼は視線をそっと腕の中に向けた。
海牛はキュウキュウと小さく鳴いて、辺りをきょろきょろと見回している。前足の蹄が、彼が垂らした三つ編みの髪に引っ掛かって動けなくなっているようだ。細い足をそっと持ち上げて、外してやる。
海牛は悩ましげな圭宿の顔を見上げてもう一度、キュウ、と鳴いた。
目を伏せ、小さくため息を吐き出す。
「まあ、ここで幼子の面倒を見慣れているのはあたしくらいですか。……ハッブル君、後でこの子の食事やら何やらの情報をまとめて送ってくださいな。そしたら出来る限りのことはしましょう」
ハッブルはその言葉に細い目を輝かせて、その場でぴょんぴょんと跳ねながら礼をした。
「おお~っ! ありがとう、ありがとう! 圭宿どのならきっと上手くやってくれるに違いない! いや、この子は圭宿どのの知る哺乳類に比べれば手はかからないはずじゃ。すぐに資料をまとめておこう!」
ではな! と景気の良い挨拶を残し、ウサギはぴょんぴょんと跳ねながら場を後にした。静かになった研究室に残された圭宿は、腕の中の海牛と顔を見合わせる。
「全く、あたしが断わらないのを分かってたんでしょうねえ」
海牛はじっと黙って、黒く丸い目で顔を見上げる。圭宿は両腕でそっと抱き抱えなおし、ゆったりと体を揺らしはじめた。まるで人の赤ん坊をあやすような手つきだ。
頬を緩め、腕の中にそっと語り掛ける。
「そら、あなたも聞いてましたね? 二週間かそこらの辛抱ですよ。すぐに仲間に会えますからね」
「キュウ」
あたたかな口調に、海牛はひとつ返事をした。
海牛は手のかからない生き物だった。
とはいえそれは、ここにいるチーフのもとにいるやんちゃな子竜や、プラネタリウムにいる荒くれケートスと比較すれば、の話ではあったが。
この幼い海牛は腹を空かせた時以外はごく静かでじっとしている。ただ一つの問題は、驚くほどすぐに腹を空かせてしまうのである。
いったん腹が減ると、この生き物は黙ってあちこちを動き回り、口に入りそうなものを片っ端から口に入れ、舐めていく。おそらく幼獣の本能的なものなのだろう。
別の館に連れていけないというハッブルの言い分も今では良く理解できたし、この研究室が普段から散らかっていないことに、心の底から安心した。
彼はハッブルが用意した食事――宇宙海洋に生える苔や藻類の一種らしい――を一日に三、四度食べさせて、それ以外の時間は海牛が勝手に歩き回らないよう見張る、という仕事を余儀なくされた。
「圭宿さん……その、何か、手伝えることは、ある?」
小さな上司が柔らかな金髪をふわりと傾け、心配そうに声を掛けた。圭宿は研究室の机でとある暦の図を睨み付け、その正確性における違和感の正体を突き止めようとしていたところだった。
「おやステラ君。ありがとうございます。今は――」
大丈夫ですよ、と答えようとしたところで、椅子の横に重ねておいたストールにちらりと目をやる。さっきまでそこに眠っていたはずの海牛の姿はなく、ストールの中央には凹みだけが残されていた。
当の小さな本人は、目の前のステラの腕に抱き抱えられ、柔らかな素材でできたおもちゃを機嫌良さそうに噛んでいた。
状況を理解し、眉間を押さえて立ち上がる。
「ああ、すみません。あたしったら、この子が起きたのに気付かず。捕まえてくだすって、ありがとうございます」
礼をして、その子を受けとりますよ、という風に両手を伸ばす。ステラはほんの僅かに視線を泳がせた。ええと、と少し言葉に迷いつつ、いつものように控えめに口を開く。
「よければ、少しの間、この子を……見てましょうか。多分、大丈夫。このおもちゃも、アポロンが使ってたものなの」
ステラの斜め後ろに控えていた子竜のアポロンは得意気にフンと鼻を鳴らした。まるで、この新入りのちびすけに譲ってやったんだぞ、と自慢するかのように。
圭宿はステラの珍しい言動に少しの驚きを覚えたのち、ふむ、と顎に手を当てる。
(本来あたしへの頼まれ事ではありましたが、これは彼女の経験にもなるでしょう)
そう考えて、ゆったりと金の瞳を細めて頷いた。
「ありがとうございます。それじゃ、今からこの子の食事を手伝ってくれますか」
少女がぱちくりと瞬きをする。
「……その、お仕事は?」
ステラは心配そうに、彼の手元の資料に視線をやった。複雑な図形や計算がいくつも書かれた書類に、圭宿は肩をすくめる。
「ああ、これですか。この作業は急ぎではないんですが、面倒で煮詰まってまして。……恥ずかしながら、それで海牛が起きたのに気付かなかったんです。だからあたしも少し気晴らしがしたいところなんですよ」
その言葉にステラの顔がわずかにほころび、頷いた。
「分かりました」
乾燥した苔のようなものにほんの少しの水をかけると、すぐに繊維質にほどけて、緑色の細かい網のように広がった。海藻とは違う特有の匂いが辺りに漂う。圭宿はそれをスプーンでほぐしながら、少しずつ水を足して固さを調整する。
手伝いを頼まれたというのに任されることが何もないステラは、その手元を見つめ静かに様子を伺っていた。彼女に抱えられた海牛もまた、きょとんとした顔でおもちゃを噛んでいる。
圭宿は給湯室の隅に据えられた長椅子に腰を下ろすと、両腕を伸ばした。
「ステラ君、その子をこちらへくださいな」
少女は小さく頷き、海牛をそっと預ける。そして一瞬の迷いの後、その隣へちょこんと腰掛けた。
圭宿は手慣れた様子で海牛をうつ伏せになるように抱えなおし、顔の下の辺りに布巾を挟み込む。それから
「ハッブル君によれば、この姿勢が正しいんですって。この布巾は……これがないと、この子に服をびしょ濡れにされてしまいますから」
と、軽く笑いながら説明を挟んだ。
圭宿がスプーンを口元へ持っていくと、海牛は鼻を何度か動かした後、夢中でそれを舐めとり始めた。彼は細い目をさらに細め、その様子をじっくりと見つめる。海牛がぺちゃぺちゃと舐める音の合間に、次の一杯を掬うスプーンの固い音が響く以外は、静けさが保たれていた。
そのじっとした空気の中、ステラが口を開いた。
「……圭宿さん、宇宙海牛を見るのは、今回が初めてって」
「ええ、そうですよ。それがどうかしましたか?」
眉を上げる彼に、少女は小さな疑問の理由を言葉にする。
「なんだか、すごく……手慣れてるから」
「ああ。あたしにも子どもがいましたからね、そのおかげでしょう」
さらりと出たその言葉に、ステラは目をまん丸くした。圭宿は顔色一つ変えず、その驚きを受け止めた。
「……知らなかった」
「まあ、言う機会もそうそうありませんから。わざと黙っていたわけじゃありませんよ」
圭宿は海牛の口へスプーンを差し出しながら、静かな微笑みをもって給餌を続ける。海牛は出されたご馳走を味わおうと夢中になって、敷かれた布巾を好き放題に汚していた。
ほんの数秒間、沈黙が流れる。ステラは、良くないことを話題にしてしまったかと不安になり始めたが、それが言葉の輪郭をもち始める直前に、圭宿は口を開いた。
「あの子はあたしと違って、星にまるで興味のない子でしたねえ。むしろ、地面の虫や草に夢中だったんですよ。虫を捕まえるのを何度も手伝わされました。……大きくなっていれば、どんな子に育っていたのか」
彼の瞳は海牛をじっと見ていたが、それは人が懐かしい思い出を語るときの、どこか遠くを見据えるような視線でもあった。
微笑みながら語るその声は決して落ち込みきってはいなかったが、ステラは口をつぐんだ。いつもの青くきらめく視線を伏せて、暗く泳がせる。
それが彼女の利口さからくる沈黙であることを理解し、圭宿は柔らかく言葉を続けた。
「ステラ君は優しいですね。ええ、無理に何か言わなくて構いませんとも」
一匙を平らげた海牛の口元に新しい食事を運び、小さな口がまた忙しく動くのを見守る。
「時間が解決してくれるのを待つしかないんです。星は時には色んなものを連れていってしまいますが、塞ぎ込むばかりでは何にもなりませんから。ただ決して忘れないよう、こうして折に触れてあの子に教えてもらったことを思い出すわけです。――ほら、半分終わりましたよ。同じようにやってみなさいな」
ステラははっとして顔を上げる。
彼の手から海牛を受け取り、そっと抱き抱えなおした。食事の途中で興奮しているのか、さっき持ち上げた時と比べてよく動く。圭宿の抱え方を思い出して同じような体勢にしてやると、海牛はうまく腕の中におさまり、すんと落ち着いた。
圭宿は表情をふっと柔らかくして、餌を掬ったスプーンを手渡す。ステラはまた先ほど見たやり方を思い出して差し出すと、海牛はまるで誰からもらっても同じだと言わんばかりに食事に夢中になった。
よかった、とステラの表情の緊張がわずかに緩む。その横顔を見て、圭宿も微笑んだ。
「ええ、上手いものですよ」
足元で大人しく拗ねているアポロンの背を撫でてやりながら、圭宿は静かに見守る。
海牛の生えかけの角が、機嫌よさそうにぼんやりと光っていた。
ばたばたした足音とともに、ハッブルが圭宿の机へ現れた。珍しく作業用の眼鏡をかけたままで、小脇には書類の束を抱えている。
「圭宿どの、圭宿どの!」
「そんなに大声をあげなくとも聞こえていますよ。どうしたんです?」
作業中の筆を硯に置いて、圭宿は片眼鏡越しの視線を机の向こうに向ける。ハッブルは早口で、一言に言いきった。
「星流嵐が少し早まったようじゃ、その子を帰すのが三日ほど前倒しになる」
それを耳にした彼はいつもの通り落ち着いていたが、その両眉はわずかに上がった。当の本人である海牛は、彼の膝の上でストールに包まれてすやすや眠っている。
「まあ、星海の巡りにはそういうこともあるでしょう。三日早くなるというと、明日の午後には、といったところでしょうか」
「うむ。しかし、わしの船のスピードを考えるともっと早く……そうじゃな、朝のうちには出たいところじゃの」
ハッブルはくるんと巻いたひげをいじりながら言った。
「一旦この書類を置いてきたら、その子を引き取りにまた来るぞい。圭宿どのには本当に面倒をかけたからのう! 少しでも早くその子を引き取ってやろうと思うてな」
ウサギのその言葉に、圭宿はほんの少し黙り込む。
その時、髪がぐんと下に引っ張られた。それはここ一週間と少しの間にすっかり慣れた感覚だった。視線を下げると、案の定、起きた海牛の蹄が彼の三つ編みに引っ掛かっている。
圭宿はその細い脚をそっと持ち上げ、蹄に絡まった髪を解いた。それから、自分のほうを見上げるきょとんとした顔をじっと見つめる。
この小さな身体も、明日にはここの重力と別れを告げるのだ。
彼は金の目を伏せ、小さく首を横に振った。
「いえ、明日の朝まで面倒を見てもいいでしょうか。……ほら、あなたも出航準備があるでしょうから」
ハッブルは意外な返答に、いつもの細い目をまん丸くして二、三秒固まった。それからまたきゅっと笑顔になり、快く頷いて見せた。
いつものように研究書類の束を睨み、じっと黙って考え込む。計算は滞り、筆は進まない。圭宿はもう一時間ほど同じ調子だった。
その時、振り子時計が何度か鳴らした音に、彼はぱっと顔を上げて筆を置いた。
(そろそろあの子が腹を空かせる頃だ。食事の用意をーー)
そこまで考えて、はっとする。もう海牛の食事を用意する必要などないのだった。
圭宿は小さなため息を吐き、背もたれに寄りかかる。
(そうだ。もうあの子の世話のことを考える必要はないんでした)
あの子の世話のことを考える必要はない。
頭の中に浮かぶその言葉は、懐かしく重たい。何年も前、自身に繰り返し言い聞かせた言葉だ。あの頃の感覚は、今でも鮮明に思い起こすことができる。行き場のない寂しさに、呼吸が詰まるような感覚。そして、それを事実だと飲み込むことしか許されない空しさ。
(誰かが居なくなることは、いつだって慣れない……いや、慣れたくなどありませんね)
ふと、顔の横に下げた三つ編みに指をかけ、ほんの少しだけ引っ張ってみる。髪の毛を引っ張りたがる小さな掌と、絡まりがちな小さな蹄が脳裏によぎる。
彼はその懐かしい感覚にそっと目を閉じ、ぽつりと呟いた。
「ええ、忘れませんとも。おちびさん」
畳む

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圭宿と小さな来館者の話。
星海蹄類ソラウミウシの幼獣保護および一時飼養報告書
「これは、一体?」
圭宿は片眼鏡をくいと指の甲で上げて訊ねた。普段の落ち着いた調子の中に、わずかに困惑が混ざっている。
背の低いウサギの中年は、細い目をさらににっこりと細くして答える。
「宇宙海牛の赤ん坊じゃよ」
「いやねえハッブル君、それは判りますよ。あたしは宇宙生物には明るくありませんが、これは文献で知っていますし、館内に標本だってあるんですから」
ソラウミウシ、あるいはウチュウウミウシ。それは、圭宿の元々知るウミウシという生物とは全く違った見た目をしていた。牛に似た前半身に、ひらひらとなびく不定形な下半身。淡い紫と白のまだら模様に染まった体は、短い毛並みに覆われている。
大人になれば大型犬ほどの大きさになる生物だが、今ここにいる個体は圭宿の片腕の中にすっぽり収まるほどしかなかった。顔つきは幼く、まだ橙色の角すら生えきっていない。きょとんとした様子で、彼の腕の中に抱えられている。
「あたしが聞きたいのは、これの生きた幼獣なんてものがなぜここにいるのか、ってことなんです」
私用で出掛けた学芸員がつい標本を持ち帰るなんてことは、この博物館では良くあるものだ。
この天文学館で見るものといえば、岩石の欠片や宇宙を漂う魔法塵、既に死んだ生物の痕跡、新しいデータなどがほとんどである。しかし、生きたままの宇宙生物の子どもを持って帰る例など、彼がサブチーフを勤めるなかで、これまで一度も見たことがなかった。
ハッブルは、それがなあ、と白い毛並みの頭を掻いて話し始めた。
「つい昨日、休暇をとって星海域でヨットに乗ってたんじゃよ」
「……はあ」
「この海牛たちは大規模な群れで移動しながら暮らす性質があるんじゃが、どうやらこの子は渡りに乗り遅れたようでな。わしの宇宙船に突然飛び込んできたんじゃ。そのまま置いてきても良かったんじゃが、やはり可哀想でな……」
そうしてくるんと巻いた口髭をいじりながら、眉を下げて悩ましげに言ったかと思うと、彼はにわかに声を明るくした。
「そこで水流を調べてみたところ、その群れは半月後に来る星流嵐に乗って再び戻ってくるタイミングがあるようなんじゃ! じゃから、それに合わせて群れに返してやろうと思ったんじゃよ」
ハッブルは顎に手を当てて、うんうんと納得するように頷く。
「なるほど。それは分かりました。ですがあなたねえ、先程あたしに、この子の面倒を頼むとおっしゃいましたね?」
「うむ。連れて帰ったは良いんじゃが、丁度このあと二週間ほど、兼任している科学技術館の件で手一杯になるのを忘れていたんじゃ。科学技に海牛の赤ん坊を連れていくのは、そのー……ちょっと危ないじゃろ」
「まあ、そうかもしれませんねえ」
圭宿は他の館の様子に記憶を巡らせた。あの館がとりわけ危ないということはないが、機械いじりが好きな者がやたら多い空間だ。確かに小さな生き物の面倒を見るには向いていない。
「それでもなんであたしが――」
その時、ぐい、と顔の横に垂らした三つ編みが下に引っ張られる。彼は視線をそっと腕の中に向けた。
海牛はキュウキュウと小さく鳴いて、辺りをきょろきょろと見回している。前足の蹄が、彼が垂らした三つ編みの髪に引っ掛かって動けなくなっているようだ。細い足をそっと持ち上げて、外してやる。
海牛は悩ましげな圭宿の顔を見上げてもう一度、キュウ、と鳴いた。
目を伏せ、小さくため息を吐き出す。
「まあ、ここで幼子の面倒を見慣れているのはあたしくらいですか。……ハッブル君、後でこの子の食事やら何やらの情報をまとめて送ってくださいな。そしたら出来る限りのことはしましょう」
ハッブルはその言葉に細い目を輝かせて、その場でぴょんぴょんと跳ねながら礼をした。
「おお~っ! ありがとう、ありがとう! 圭宿どのならきっと上手くやってくれるに違いない! いや、この子は圭宿どのの知る哺乳類に比べれば手はかからないはずじゃ。すぐに資料をまとめておこう!」
ではな! と景気の良い挨拶を残し、ウサギはぴょんぴょんと跳ねながら場を後にした。静かになった研究室に残された圭宿は、腕の中の海牛と顔を見合わせる。
「全く、あたしが断わらないのを分かってたんでしょうねえ」
海牛はじっと黙って、黒く丸い目で顔を見上げる。圭宿は両腕でそっと抱き抱えなおし、ゆったりと体を揺らしはじめた。まるで人の赤ん坊をあやすような手つきだ。
頬を緩め、腕の中にそっと語り掛ける。
「そら、あなたも聞いてましたね? 二週間かそこらの辛抱ですよ。すぐに仲間に会えますからね」
「キュウ」
あたたかな口調に、海牛はひとつ返事をした。
海牛は手のかからない生き物だった。
とはいえそれは、ここにいるチーフのもとにいるやんちゃな子竜や、プラネタリウムにいる荒くれケートスと比較すれば、の話ではあったが。
この幼い海牛は腹を空かせた時以外はごく静かでじっとしている。ただ一つの問題は、驚くほどすぐに腹を空かせてしまうのである。
いったん腹が減ると、この生き物は黙ってあちこちを動き回り、口に入りそうなものを片っ端から口に入れ、舐めていく。おそらく幼獣の本能的なものなのだろう。
別の館に連れていけないというハッブルの言い分も今では良く理解できたし、この研究室が普段から散らかっていないことに、心の底から安心した。
彼はハッブルが用意した食事――宇宙海洋に生える苔や藻類の一種らしい――を一日に三、四度食べさせて、それ以外の時間は海牛が勝手に歩き回らないよう見張る、という仕事を余儀なくされた。
「圭宿さん……その、何か、手伝えることは、ある?」
小さな上司が柔らかな金髪をふわりと傾け、心配そうに声を掛けた。圭宿は研究室の机でとある暦の図を睨み付け、その正確性における違和感の正体を突き止めようとしていたところだった。
「おやステラ君。ありがとうございます。今は――」
大丈夫ですよ、と答えようとしたところで、椅子の横に重ねておいたストールにちらりと目をやる。さっきまでそこに眠っていたはずの海牛の姿はなく、ストールの中央には凹みだけが残されていた。
当の小さな本人は、目の前のステラの腕に抱き抱えられ、柔らかな素材でできたおもちゃを機嫌良さそうに噛んでいた。
状況を理解し、眉間を押さえて立ち上がる。
「ああ、すみません。あたしったら、この子が起きたのに気付かず。捕まえてくだすって、ありがとうございます」
礼をして、その子を受けとりますよ、という風に両手を伸ばす。ステラはほんの僅かに視線を泳がせた。ええと、と少し言葉に迷いつつ、いつものように控えめに口を開く。
「よければ、少しの間、この子を……見てましょうか。多分、大丈夫。このおもちゃも、アポロンが使ってたものなの」
ステラの斜め後ろに控えていた子竜のアポロンは得意気にフンと鼻を鳴らした。まるで、この新入りのちびすけに譲ってやったんだぞ、と自慢するかのように。
圭宿はステラの珍しい言動に少しの驚きを覚えたのち、ふむ、と顎に手を当てる。
(本来あたしへの頼まれ事ではありましたが、これは彼女の経験にもなるでしょう)
そう考えて、ゆったりと金の瞳を細めて頷いた。
「ありがとうございます。それじゃ、今からこの子の食事を手伝ってくれますか」
少女がぱちくりと瞬きをする。
「……その、お仕事は?」
ステラは心配そうに、彼の手元の資料に視線をやった。複雑な図形や計算がいくつも書かれた書類に、圭宿は肩をすくめる。
「ああ、これですか。この作業は急ぎではないんですが、面倒で煮詰まってまして。……恥ずかしながら、それで海牛が起きたのに気付かなかったんです。だからあたしも少し気晴らしがしたいところなんですよ」
その言葉にステラの顔がわずかにほころび、頷いた。
「分かりました」
乾燥した苔のようなものにほんの少しの水をかけると、すぐに繊維質にほどけて、緑色の細かい網のように広がった。海藻とは違う特有の匂いが辺りに漂う。圭宿はそれをスプーンでほぐしながら、少しずつ水を足して固さを調整する。
手伝いを頼まれたというのに任されることが何もないステラは、その手元を見つめ静かに様子を伺っていた。彼女に抱えられた海牛もまた、きょとんとした顔でおもちゃを噛んでいる。
圭宿は給湯室の隅に据えられた長椅子に腰を下ろすと、両腕を伸ばした。
「ステラ君、その子をこちらへくださいな」
少女は小さく頷き、海牛をそっと預ける。そして一瞬の迷いの後、その隣へちょこんと腰掛けた。
圭宿は手慣れた様子で海牛をうつ伏せになるように抱えなおし、顔の下の辺りに布巾を挟み込む。それから
「ハッブル君によれば、この姿勢が正しいんですって。この布巾は……これがないと、この子に服をびしょ濡れにされてしまいますから」
と、軽く笑いながら説明を挟んだ。
圭宿がスプーンを口元へ持っていくと、海牛は鼻を何度か動かした後、夢中でそれを舐めとり始めた。彼は細い目をさらに細め、その様子をじっくりと見つめる。海牛がぺちゃぺちゃと舐める音の合間に、次の一杯を掬うスプーンの固い音が響く以外は、静けさが保たれていた。
そのじっとした空気の中、ステラが口を開いた。
「……圭宿さん、宇宙海牛を見るのは、今回が初めてって」
「ええ、そうですよ。それがどうかしましたか?」
眉を上げる彼に、少女は小さな疑問の理由を言葉にする。
「なんだか、すごく……手慣れてるから」
「ああ。あたしにも子どもがいましたからね、そのおかげでしょう」
さらりと出たその言葉に、ステラは目をまん丸くした。圭宿は顔色一つ変えず、その驚きを受け止めた。
「……知らなかった」
「まあ、言う機会もそうそうありませんから。わざと黙っていたわけじゃありませんよ」
圭宿は海牛の口へスプーンを差し出しながら、静かな微笑みをもって給餌を続ける。海牛は出されたご馳走を味わおうと夢中になって、敷かれた布巾を好き放題に汚していた。
ほんの数秒間、沈黙が流れる。ステラは、良くないことを話題にしてしまったかと不安になり始めたが、それが言葉の輪郭をもち始める直前に、圭宿は口を開いた。
「あの子はあたしと違って、星にまるで興味のない子でしたねえ。むしろ、地面の虫や草に夢中だったんですよ。虫を捕まえるのを何度も手伝わされました。……大きくなっていれば、どんな子に育っていたのか」
彼の瞳は海牛をじっと見ていたが、それは人が懐かしい思い出を語るときの、どこか遠くを見据えるような視線でもあった。
微笑みながら語るその声は決して落ち込みきってはいなかったが、ステラは口をつぐんだ。いつもの青くきらめく視線を伏せて、暗く泳がせる。
それが彼女の利口さからくる沈黙であることを理解し、圭宿は柔らかく言葉を続けた。
「ステラ君は優しいですね。ええ、無理に何か言わなくて構いませんとも」
一匙を平らげた海牛の口元に新しい食事を運び、小さな口がまた忙しく動くのを見守る。
「時間が解決してくれるのを待つしかないんです。星は時には色んなものを連れていってしまいますが、塞ぎ込むばかりでは何にもなりませんから。ただ決して忘れないよう、こうして折に触れてあの子に教えてもらったことを思い出すわけです。――ほら、半分終わりましたよ。同じようにやってみなさいな」
ステラははっとして顔を上げる。
彼の手から海牛を受け取り、そっと抱き抱えなおした。食事の途中で興奮しているのか、さっき持ち上げた時と比べてよく動く。圭宿の抱え方を思い出して同じような体勢にしてやると、海牛はうまく腕の中におさまり、すんと落ち着いた。
圭宿は表情をふっと柔らかくして、餌を掬ったスプーンを手渡す。ステラはまた先ほど見たやり方を思い出して差し出すと、海牛はまるで誰からもらっても同じだと言わんばかりに食事に夢中になった。
よかった、とステラの表情の緊張がわずかに緩む。その横顔を見て、圭宿も微笑んだ。
「ええ、上手いものですよ」
足元で大人しく拗ねているアポロンの背を撫でてやりながら、圭宿は静かに見守る。
海牛の生えかけの角が、機嫌よさそうにぼんやりと光っていた。
ばたばたした足音とともに、ハッブルが圭宿の机へ現れた。珍しく作業用の眼鏡をかけたままで、小脇には書類の束を抱えている。
「圭宿どの、圭宿どの!」
「そんなに大声をあげなくとも聞こえていますよ。どうしたんです?」
作業中の筆を硯に置いて、圭宿は片眼鏡越しの視線を机の向こうに向ける。ハッブルは早口で、一言に言いきった。
「星流嵐が少し早まったようじゃ、その子を帰すのが三日ほど前倒しになる」
それを耳にした彼はいつもの通り落ち着いていたが、その両眉はわずかに上がった。当の本人である海牛は、彼の膝の上でストールに包まれてすやすや眠っている。
「まあ、星海の巡りにはそういうこともあるでしょう。三日早くなるというと、明日の午後には、といったところでしょうか」
「うむ。しかし、わしの船のスピードを考えるともっと早く……そうじゃな、朝のうちには出たいところじゃの」
ハッブルはくるんと巻いたひげをいじりながら言った。
「一旦この書類を置いてきたら、その子を引き取りにまた来るぞい。圭宿どのには本当に面倒をかけたからのう! 少しでも早くその子を引き取ってやろうと思うてな」
ウサギのその言葉に、圭宿はほんの少し黙り込む。
その時、髪がぐんと下に引っ張られた。それはここ一週間と少しの間にすっかり慣れた感覚だった。視線を下げると、案の定、起きた海牛の蹄が彼の三つ編みに引っ掛かっている。
圭宿はその細い脚をそっと持ち上げ、蹄に絡まった髪を解いた。それから、自分のほうを見上げるきょとんとした顔をじっと見つめる。
この小さな身体も、明日にはここの重力と別れを告げるのだ。
彼は金の目を伏せ、小さく首を横に振った。
「いえ、明日の朝まで面倒を見てもいいでしょうか。……ほら、あなたも出航準備があるでしょうから」
ハッブルは意外な返答に、いつもの細い目をまん丸くして二、三秒固まった。それからまたきゅっと笑顔になり、快く頷いて見せた。
いつものように研究書類の束を睨み、じっと黙って考え込む。計算は滞り、筆は進まない。圭宿はもう一時間ほど同じ調子だった。
その時、振り子時計が何度か鳴らした音に、彼はぱっと顔を上げて筆を置いた。
(そろそろあの子が腹を空かせる頃だ。食事の用意をーー)
そこまで考えて、はっとする。もう海牛の食事を用意する必要などないのだった。
圭宿は小さなため息を吐き、背もたれに寄りかかる。
(そうだ。もうあの子の世話のことを考える必要はないんでした)
あの子の世話のことを考える必要はない。
頭の中に浮かぶその言葉は、懐かしく重たい。何年も前、自身に繰り返し言い聞かせた言葉だ。あの頃の感覚は、今でも鮮明に思い起こすことができる。行き場のない寂しさに、呼吸が詰まるような感覚。そして、それを事実だと飲み込むことしか許されない空しさ。
(誰かが居なくなることは、いつだって慣れない……いや、慣れたくなどありませんね)
ふと、顔の横に下げた三つ編みに指をかけ、ほんの少しだけ引っ張ってみる。髪の毛を引っ張りたがる小さな掌と、絡まりがちな小さな蹄が脳裏によぎる。
彼はその懐かしい感覚にそっと目を閉じ、ぽつりと呟いた。
「ええ、忘れませんとも。おちびさん」
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2025年11月23日(日)
〔84日前〕
ゲーム
Z-Aのエンドロールから一晩経って
AZさんを見送ったのが、未だにどこか夢のような気がしている。
あんなに平穏に穏やかに、3000年という命を終えたこと……というか、それを見届けさせてもらえたこと。
言葉で表しきれない寂しさと同時に、見届けさせてくれてありがとう、という気持ちも少しある。
あの笑顔が見れたのなら12年前にカロスを救ってよかったと思ってるし、今ミアレを救ってよかったとも思う。
プレイ中ずっと心から「AZさんとフラエッテが笑顔でいること」を一番の願いとしていたので、AZさんの最期が笑顔だったのならこれ以上のことはないよ。フラエッテの笑顔も守らなければいけないね。
本当に、ポケモンやっててこんな感情になるなんて思わなかったな。何年も一方的に激重感情を抱いていた人の死と向き合わされるなんて。
そういえば少し前、Z-Aのストーリー途中の段階で「AZさんが遠からず実装されるかもしれないから」と思ってポケマスを再ダウンロードしていたけど、それも必要なくなってしまったな。
でもやっぱりたまにはプレイしよう。そしてお墓の前でパシオの話をしよう。そしたらきっとAZさんは微笑みながら楽しそうに聞いてくれるだろうから。
まだ他の方の二次創作を見れるような心境ではない(自分の中で受け止める時間がほしい)のでインターネットの自我は低速ですが、心が癒えたらだんだん戻っていきたい。
畳む
#ポケモン
AZさんを見送ったのが、未だにどこか夢のような気がしている。
あんなに平穏に穏やかに、3000年という命を終えたこと……というか、それを見届けさせてもらえたこと。
言葉で表しきれない寂しさと同時に、見届けさせてくれてありがとう、という気持ちも少しある。
あの笑顔が見れたのなら12年前にカロスを救ってよかったと思ってるし、今ミアレを救ってよかったとも思う。
プレイ中ずっと心から「AZさんとフラエッテが笑顔でいること」を一番の願いとしていたので、AZさんの最期が笑顔だったのならこれ以上のことはないよ。フラエッテの笑顔も守らなければいけないね。
本当に、ポケモンやっててこんな感情になるなんて思わなかったな。何年も一方的に激重感情を抱いていた人の死と向き合わされるなんて。
そういえば少し前、Z-Aのストーリー途中の段階で「AZさんが遠からず実装されるかもしれないから」と思ってポケマスを再ダウンロードしていたけど、それも必要なくなってしまったな。
でもやっぱりたまにはプレイしよう。そしてお墓の前でパシオの話をしよう。そしたらきっとAZさんは微笑みながら楽しそうに聞いてくれるだろうから。
まだ他の方の二次創作を見れるような心境ではない(自分の中で受け止める時間がほしい)のでインターネットの自我は低速ですが、心が癒えたらだんだん戻っていきたい。
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#ポケモン
2025年11月23日(日)
〔84日前〕
ゲーム
ポケモンZ-A、エンドロール見ました
吐き出させてください
※感情のままつらつら書いてるので、とりとめも読みやすさもないです。怪文書です。
まず受け止めきれず放心して、理解して泣き、そしてあらゆる感情がわき出た。
まさか3000年生きた男を12年越しに見送ることになるなんて思わないじゃないですか。
予兆はあったけど、それが今だなんて思わないじゃないですか。
もっとずっといてほしかったよ。
でもAZさんは分かっていたんだよね。
XYのメインストーリーをクリアして会えなくなって、どれだけ探しても本当に会えなくて、12年経ってようやく会えたんだよ。
もっと色んな話が聞きたかったよ。
プリズムタワーの問題を解決したらみんなでホテルZに行って、AZさんの手料理を食べて、それにまつわる世界中の思い出を聞きたかったんだよ。
かつての手持ちの話とかも聞きたかったよ。彼女からルカリオを受け取ったということはXYでのあの3匹は手元にいないんだろうけど、ポケモンを大切に思うAZさんのことだから、こうなる前にどこかへ預けたのかな。
もっと色んな表情の写真を撮りたかったよ。ロトムカメラのBGM機能を使って表情を変えるなんていうのはおそれ多くてほぼできなかったけど、クリア後に撮らせてもらおうなんて呑気に考えていたんだ。
AZさんはいつもカウンターの中で立っていたけれど、あの椅子に座ってフラエッテと一緒にくつろいでいてよかったのに、ってずっと思っていたよ。二人が笑いあっている姿をもっと見たかったよ。
でもそんな後悔は本当にわがままだなという自覚はあるんだ。
こうしてZ-Aという作品でAZさんに再会できて、お話ができて、微笑みかけてもらえて、おかえりと言ってくれて、ありがとうと言ってもらえて……それだけで夢みたいな奇跡みたいなことだもの。
AZさんはこの出会いを運命と呼んだけれど、これが運命なら、この別れもきっと運命なんだろうと思う。
3000年生きた人を見送れるというのもまた、奇跡みたいなことだ。
きっとこの5年間は大変だったろうけど、不幸ではなかったろうな。
3000年前の後悔を引き連れて、2000年前の行いに直面して、自力で何もできなかったのは歯がゆかったと思うけど、そこに全力で人助けしたいトレーナーが手を貸してくれたんだもの。
自分がタウニーの行動に時折困惑しながらそれでも彼女をリーダーだと認めたのは、AZさんが彼女をリーダーと認めていたからでもある。
どれだけ拙くとも、AZさんにとってタウニーは光だっただろうから。
5年前の時点でも、きっと自身を奮い立たせて世界を救おうとしてたんだろうけど、この5年間の間にもずっと余力を使い続けてきていたんだろうなあ。
ゆっくり休んでほしい。あなたはホテルのオーナーである以前に、王様である以前に、3000年頑張ったひとりの人間なんだ。
AZさんが望むのならなんだってするよ。ミアレをポケモンと人の絆で溢れさせて、ZAロワイヤルを続け、未来を作ろう。
AZさんが終盤の終盤で口にしていた「今を生きる者が未来を作る」という言葉には、自分は既に過去の人間だという含みを感じてつらかった。けれど、あなたがそう言うのなら今を生きるよ。
3000年からしたらちっぽけな数字だろうけど、12年間想いを馳せ続けた人間がここにいるんだよ。
AZさんの愛したすべてを守るし、AZさんの遺したすべてを愛するよ。
AZさんが好きだから。
寂しくないといえば大嘘になる!!
寂しい。寂しいにきまってる。
けど、XYの時とは違ってAZさんはここにいる。ミアレという土地で眠っている。それならば自分はミアレを愛するんだ。
これは人生の話でもあるけど、後悔しないように生きていても、別れには後悔がつきものだなと思う。
今回のZ-AはAZさんの姿をとりこぼさないように、後で見返せるように……と思って全部録画しているんだけど、それでもあの時のタイミングで話しかけておけばよかった、あそこの姿を写真に残しておきたかった、って後悔がいくつかある。
あと、自分がフラエッテをメガシンカさせると言ったタウニーと殴り合いの喧嘩をしてでもアンジュの席に座りたかったとも思ってるよ!あの憧れの玉座に触れたかったもん!!(だだこね)
ところでピュールに「採寸してほしい」と頼んだという話、これまでAZさんの台詞を聞くなかで唯一出た嘘で少しびっくりした。
子どもに心配をかけまいと嘘をつく、そういう優しい人だったんだ。
そのときの微笑みも想像つくなあ。
そしてFも、彼らしさを見せつけたまますっと去ってしまった(多分……まだ少しストーリー続くようなので会えたらいいなとは思うけど……)(名前がアルファベットのトレーナーは物語の最後に退場すると相場が決まっているんですか??)
あの秩序で形作られたような生真面目な善性。かつてはそれが倫理を見失わせる武器になったけれど、狂気を置いてきた今こそが本来の彼の在り方に近いんだろうなと思う。
(秩序と平和を求める者……どうりでジガルデが共鳴したわけだ)
その人間を愛する善性は、カラスバやフレア団ヌーヴォの人達に確かに引き継がれているし。
とにかくジガルデセルを自力で99匹見つけた事実がそれを物語っている。誰か、それこそ主人公とかに手伝いを頼めばよかったものを!
デクシオとジーナは見習ってほしい!
……ところでかなり気になってるんだけど、XYで最終兵器の光を浴びた彼の寿命も長くなってたりしません……よね……??
時間の経過以外にそれを確かめる術がないのもこわい。
彼の今後が後悔に苛まれるような人生でないことを心から願う。彼にも居場所がありますように。
Z-Aは精算と終わり、そして新たな始まりの物語だったなと思う。
AZさんの言っていた「現代の人間が未来を作る」という言葉の通り、過去作の続投キャラは自らの行いにけりをつけて、今作の新キャラたちはミアレに新しい風を吹かしていっている。それを見届けるジガルデという存在。
XYの後にやりたかったのはこういうことなんだろうなあ、という納得を随所に感じる。
そう考えるとZ-Aというタイトルもなんてぴったりなんだろう!
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#ポケモン
吐き出させてください
※感情のままつらつら書いてるので、とりとめも読みやすさもないです。怪文書です。
まず受け止めきれず放心して、理解して泣き、そしてあらゆる感情がわき出た。
まさか3000年生きた男を12年越しに見送ることになるなんて思わないじゃないですか。
予兆はあったけど、それが今だなんて思わないじゃないですか。
もっとずっといてほしかったよ。
でもAZさんは分かっていたんだよね。
XYのメインストーリーをクリアして会えなくなって、どれだけ探しても本当に会えなくて、12年経ってようやく会えたんだよ。
もっと色んな話が聞きたかったよ。
プリズムタワーの問題を解決したらみんなでホテルZに行って、AZさんの手料理を食べて、それにまつわる世界中の思い出を聞きたかったんだよ。
かつての手持ちの話とかも聞きたかったよ。彼女からルカリオを受け取ったということはXYでのあの3匹は手元にいないんだろうけど、ポケモンを大切に思うAZさんのことだから、こうなる前にどこかへ預けたのかな。
もっと色んな表情の写真を撮りたかったよ。ロトムカメラのBGM機能を使って表情を変えるなんていうのはおそれ多くてほぼできなかったけど、クリア後に撮らせてもらおうなんて呑気に考えていたんだ。
AZさんはいつもカウンターの中で立っていたけれど、あの椅子に座ってフラエッテと一緒にくつろいでいてよかったのに、ってずっと思っていたよ。二人が笑いあっている姿をもっと見たかったよ。
でもそんな後悔は本当にわがままだなという自覚はあるんだ。
こうしてZ-Aという作品でAZさんに再会できて、お話ができて、微笑みかけてもらえて、おかえりと言ってくれて、ありがとうと言ってもらえて……それだけで夢みたいな奇跡みたいなことだもの。
AZさんはこの出会いを運命と呼んだけれど、これが運命なら、この別れもきっと運命なんだろうと思う。
3000年生きた人を見送れるというのもまた、奇跡みたいなことだ。
きっとこの5年間は大変だったろうけど、不幸ではなかったろうな。
3000年前の後悔を引き連れて、2000年前の行いに直面して、自力で何もできなかったのは歯がゆかったと思うけど、そこに全力で人助けしたいトレーナーが手を貸してくれたんだもの。
自分がタウニーの行動に時折困惑しながらそれでも彼女をリーダーだと認めたのは、AZさんが彼女をリーダーと認めていたからでもある。
どれだけ拙くとも、AZさんにとってタウニーは光だっただろうから。
5年前の時点でも、きっと自身を奮い立たせて世界を救おうとしてたんだろうけど、この5年間の間にもずっと余力を使い続けてきていたんだろうなあ。
ゆっくり休んでほしい。あなたはホテルのオーナーである以前に、王様である以前に、3000年頑張ったひとりの人間なんだ。
AZさんが望むのならなんだってするよ。ミアレをポケモンと人の絆で溢れさせて、ZAロワイヤルを続け、未来を作ろう。
AZさんが終盤の終盤で口にしていた「今を生きる者が未来を作る」という言葉には、自分は既に過去の人間だという含みを感じてつらかった。けれど、あなたがそう言うのなら今を生きるよ。
3000年からしたらちっぽけな数字だろうけど、12年間想いを馳せ続けた人間がここにいるんだよ。
AZさんの愛したすべてを守るし、AZさんの遺したすべてを愛するよ。
AZさんが好きだから。
寂しくないといえば大嘘になる!!
寂しい。寂しいにきまってる。
けど、XYの時とは違ってAZさんはここにいる。ミアレという土地で眠っている。それならば自分はミアレを愛するんだ。
これは人生の話でもあるけど、後悔しないように生きていても、別れには後悔がつきものだなと思う。
今回のZ-AはAZさんの姿をとりこぼさないように、後で見返せるように……と思って全部録画しているんだけど、それでもあの時のタイミングで話しかけておけばよかった、あそこの姿を写真に残しておきたかった、って後悔がいくつかある。
あと、自分がフラエッテをメガシンカさせると言ったタウニーと殴り合いの喧嘩をしてでもアンジュの席に座りたかったとも思ってるよ!あの憧れの玉座に触れたかったもん!!(だだこね)
ところでピュールに「採寸してほしい」と頼んだという話、これまでAZさんの台詞を聞くなかで唯一出た嘘で少しびっくりした。
子どもに心配をかけまいと嘘をつく、そういう優しい人だったんだ。
そのときの微笑みも想像つくなあ。
そしてFも、彼らしさを見せつけたまますっと去ってしまった(多分……まだ少しストーリー続くようなので会えたらいいなとは思うけど……)(名前がアルファベットのトレーナーは物語の最後に退場すると相場が決まっているんですか??)
あの秩序で形作られたような生真面目な善性。かつてはそれが倫理を見失わせる武器になったけれど、狂気を置いてきた今こそが本来の彼の在り方に近いんだろうなと思う。
(秩序と平和を求める者……どうりでジガルデが共鳴したわけだ)
その人間を愛する善性は、カラスバやフレア団ヌーヴォの人達に確かに引き継がれているし。
とにかくジガルデセルを自力で99匹見つけた事実がそれを物語っている。誰か、それこそ主人公とかに手伝いを頼めばよかったものを!
デクシオとジーナは見習ってほしい!
……ところでかなり気になってるんだけど、XYで最終兵器の光を浴びた彼の寿命も長くなってたりしません……よね……??
時間の経過以外にそれを確かめる術がないのもこわい。
彼の今後が後悔に苛まれるような人生でないことを心から願う。彼にも居場所がありますように。
Z-Aは精算と終わり、そして新たな始まりの物語だったなと思う。
AZさんの言っていた「現代の人間が未来を作る」という言葉の通り、過去作の続投キャラは自らの行いにけりをつけて、今作の新キャラたちはミアレに新しい風を吹かしていっている。それを見届けるジガルデという存在。
XYの後にやりたかったのはこういうことなんだろうなあ、という納得を随所に感じる。
そう考えるとZ-Aというタイトルもなんてぴったりなんだろう!
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#ポケモン
2025年11月21日 この範囲を時系列順で読む
11月の頭に『リメンバーミー』と『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を観た。
どっちもこれまでずっと気になりつつタイミングを逃し続けていたので、見せてくれた友人に大感謝。
そして図らずも今の季節がどちらも作中の時期にぴったりだった。
どっちも面白かった~観れてよかった~~!!
『リメンバーミー』感想
・鮮やかで美しい画面が多くて、特に祭りの時期の町を描くシーンは本当にマリーゴールドの青い香りを思い出すようで好きだ。
それと対比するように、主人公がデラクルスと話すシーンの青さも印象的。
・ホネだからこそのコミカルなシーンや動きが多くて見ていて楽しい。動きに正当性のあるトムとジェリーみたいな。
・『ミラベルと魔法だらけの家』に視聴後の感覚が似ている。子どもの寂しさと、家族愛。
あなたには居場所があるんだよ、と抱きしめてもらう安心感。すべての子どもに愛があれ……。
・フリーダ・カーロの登場、「これびじゅチューンでやったところだ!」になった。
フリーダの名前を聞くとつい審判だと思ってしまう不思議。画家なのにね。
・アレブリヘみんなかわいいね~~~~。色んな動物モチーフになっているのが見ていて楽しい。
・ヘクターとデラクルスのどんでん返しとか、ママイメルダのステージとかの展開もハラハラして面白かった!
・ママココを抱きしめるヘクターパパが本当に嬉しそうで、身近な人を思い出し泣いた。どんな歳で出会っても親は親だし、子は子なんだ。
ミゲルと家族の愛の話だし、ママココとヘクターの親子愛の話でもある。
・死者の日に見える死生観は、日本のお盆と似ているようで少し違うなと思った。
日本のお盆は"ご先祖様"というある種の概念として迎え入れるのに対し、死者の日は先祖を個人として語って迎える。
生の続きに死がありただその先へ続いていくだけ、本質的には何も変わらない、という感覚がより明確な気がする。
日本の死はもう少し感傷的というか、やはりあちらに「行ってしまった」という感覚が強い気がするので(勿論人によるとは思うけど!)。
畳む
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』感想
・価値観がズレた人外が好きなので、価値観がズレた人外の街なんて最高に決まってますよね!! 最高でした!!
「みんなおどろおどろしいデザインで狂気的だ」と思うと同時に、彼ら視点でも見ている自分もいるので「みんなかわいくてにぎやかで楽しそう~!混ぜて~!」ってなってた(※別に混ざりたくはない)。
・ジャックがずっと楽しそうだし、あれは何? 素敵! 知りたい! 調べてみよう! ととにかく欲望のままに"無邪気"に突き進むのがとっても気持ちいい。それで当然ズレてるので人間に攻撃されるっていうのも無邪気でズレた人外として非常に良かった。ありがとうございます。
撃ち落されてからの歌も最高で笑った。
・そしてあの町でサリーはめちゃくちゃ異質だなーと思う。かなり人間っぽい感覚を持っているので、これまでに何かそういうのを学習するきっかけがあったんだろうか。
それでも軽率に毒を盛ったり、体バラバラになるのを気にしないあたりたいへんキュートですね。つぎはぎキャラってだけで刺さっちゃうのに……。
・ブギ―の中身気持ち悪くて最悪で最高。中身がアレだとすると、自我はどこにあるんだろう??
・ティムバートンの絵の世界観がそのままストップモーションアニメになっているの、似合いすぎてびっくりする……! あのフレームレートのコマ撮りがちょうど似合う感じ。
序盤でゼロと一緒に森のはずれへ行くシーンで、背景の森の雰囲気が変わる所とか好きだった。
ハロウィン・タウンとクリスマス・タウン、それからブギーの部屋で全然違う色合いや質感が使われているのも見ていて楽しい。
・ジャックの表情の幅が大きいけど、それを無理にぬるぬる動かさないのも良かった!
小さくすぼめた口→ぱっと口が裂けるように笑う ような表情の移り変わりが表情豊かなジャックによく似合っていた。
・『コララインとボタンの魔女』『マイリトルゴート』あたりのストップモーションホラーの流れの手前にこれがあるんだなあと感じた。
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どっちもこれまでずっと気になりつつタイミングを逃し続けていたので、見せてくれた友人に大感謝。
そして図らずも今の季節がどちらも作中の時期にぴったりだった。
どっちも面白かった~観れてよかった~~!!
『リメンバーミー』感想
・鮮やかで美しい画面が多くて、特に祭りの時期の町を描くシーンは本当にマリーゴールドの青い香りを思い出すようで好きだ。
それと対比するように、主人公がデラクルスと話すシーンの青さも印象的。
・ホネだからこそのコミカルなシーンや動きが多くて見ていて楽しい。動きに正当性のあるトムとジェリーみたいな。
・『ミラベルと魔法だらけの家』に視聴後の感覚が似ている。子どもの寂しさと、家族愛。
あなたには居場所があるんだよ、と抱きしめてもらう安心感。すべての子どもに愛があれ……。
・フリーダ・カーロの登場、「これびじゅチューンでやったところだ!」になった。
フリーダの名前を聞くとつい審判だと思ってしまう不思議。画家なのにね。
・アレブリヘみんなかわいいね~~~~。色んな動物モチーフになっているのが見ていて楽しい。
・ヘクターとデラクルスのどんでん返しとか、ママイメルダのステージとかの展開もハラハラして面白かった!
・ママココを抱きしめるヘクターパパが本当に嬉しそうで、身近な人を思い出し泣いた。どんな歳で出会っても親は親だし、子は子なんだ。
ミゲルと家族の愛の話だし、ママココとヘクターの親子愛の話でもある。
・死者の日に見える死生観は、日本のお盆と似ているようで少し違うなと思った。
日本のお盆は"ご先祖様"というある種の概念として迎え入れるのに対し、死者の日は先祖を個人として語って迎える。
生の続きに死がありただその先へ続いていくだけ、本質的には何も変わらない、という感覚がより明確な気がする。
日本の死はもう少し感傷的というか、やはりあちらに「行ってしまった」という感覚が強い気がするので(勿論人によるとは思うけど!)。
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『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』感想
・価値観がズレた人外が好きなので、価値観がズレた人外の街なんて最高に決まってますよね!! 最高でした!!
「みんなおどろおどろしいデザインで狂気的だ」と思うと同時に、彼ら視点でも見ている自分もいるので「みんなかわいくてにぎやかで楽しそう~!混ぜて~!」ってなってた(※別に混ざりたくはない)。
・ジャックがずっと楽しそうだし、あれは何? 素敵! 知りたい! 調べてみよう! ととにかく欲望のままに"無邪気"に突き進むのがとっても気持ちいい。それで当然ズレてるので人間に攻撃されるっていうのも無邪気でズレた人外として非常に良かった。ありがとうございます。
撃ち落されてからの歌も最高で笑った。
・そしてあの町でサリーはめちゃくちゃ異質だなーと思う。かなり人間っぽい感覚を持っているので、これまでに何かそういうのを学習するきっかけがあったんだろうか。
それでも軽率に毒を盛ったり、体バラバラになるのを気にしないあたりたいへんキュートですね。つぎはぎキャラってだけで刺さっちゃうのに……。
・ブギ―の中身気持ち悪くて最悪で最高。中身がアレだとすると、自我はどこにあるんだろう??
・ティムバートンの絵の世界観がそのままストップモーションアニメになっているの、似合いすぎてびっくりする……! あのフレームレートのコマ撮りがちょうど似合う感じ。
序盤でゼロと一緒に森のはずれへ行くシーンで、背景の森の雰囲気が変わる所とか好きだった。
ハロウィン・タウンとクリスマス・タウン、それからブギーの部屋で全然違う色合いや質感が使われているのも見ていて楽しい。
・ジャックの表情の幅が大きいけど、それを無理にぬるぬる動かさないのも良かった!
小さくすぼめた口→ぱっと口が裂けるように笑う ような表情の移り変わりが表情豊かなジャックによく似合っていた。
・『コララインとボタンの魔女』『マイリトルゴート』あたりのストップモーションホラーの流れの手前にこれがあるんだなあと感じた。
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2025年11月19日 この範囲を時系列順で読む
2025年11月19日(水)
〔87日前〕
絵



#海底二万里 を前半とちょっと読み、原作ネモ船長に沼っている。感想は全部読み終えたら書くとして、現時点での自己解釈ネモを置いておく。
キャラデザはオリジナルだけど創作物としては二次創作扱いです。 #FA
ネモ船長といえばナディアのネモのイメージが強かった(同一人物ではないのは分かってはいるが)から、原作読んで全然印象と違ってびっくりした。
淡々として知的でアロナックスに学者としての敬意を払い、船長として安心感のある落ち着いた存在でありながら、時折強い感情と思想を見せる破壊力。
良い。
あと選んだ訳文がドンピシャ好みで嬉しい。
ちょっと古めかしい雰囲気の言い回し本当に大好き……読んでるだけで栄養になる……。
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